シニア犬になると、「急に下痢をするようになった」「お腹が弱くなった」といった悩みを抱える飼い主さんが増えてきます。若い頃はどんなものを食べても元気だったのに、年齢とともに体調を崩しやすくなるのは自然なことです。
この記事では、老犬が下痢や消化不良を起こしやすくなる理由や、飼い主さんが見逃さないようにしたいサイン、そして家庭でできる対策や食事の工夫について詳しく解説します。
なぜシニア犬は下痢しやすいの?
年を取った犬の体は、私たち人間と同じように少しずつ衰えていきます。特に胃腸などの消化器官は、加齢とともに機能が低下しやすくなります。
胃腸の機能が低下する
老犬の胃や腸は、若い頃に比べて消化・吸収力が弱まっています。これにより、以前は問題なかった食べ物でもうまく消化できず、下痢や軟便といった症状が出やすくなります。
腸内環境のバランスが崩れやすい
加齢とともに腸内の善玉菌が減少し、悪玉菌が増える傾向があります。腸内フローラのバランスが崩れることで、消化不良や便のトラブルが起こりやすくなります。
免疫力の低下
シニア犬は免疫力が下がっているため、ちょっとした変化やストレス、食べ慣れないものでも体調を崩しやすくなります。腸は免疫と密接に関係しているため、お腹のトラブルに直結しやすいのです。
環境の変化への敏感さ
音や気温の変化、引っ越し、家族の不在など、老犬は環境の変化にも敏感です。これらのストレスが原因で下痢になるケースも少なくありません。
消化不良のサインとは?
飼い主が見逃したくない「消化不良」のサインには、以下のような症状があります。
- 下痢・軟便が続く(特に食後すぐに便がゆるくなる場合)
- ガス(おなら)が多くなる、においが強くなる
- 食欲はあるのに便の状態が悪い
- 食後に吐くことがある
- 便のにおい・色がいつもと違う
これらのサインは、老犬が「今の食事をうまく消化できていない」可能性を示しています。たとえ元気があるように見えても、体の中では負担がかかっているかもしれません。
🔍 見逃さないことが大切!
一時的な下痢で済む場合もありますが、数日続いたり、他の症状を伴う場合は早めに対処しましょう。
原因となる食事内容のチェックポイント
下痢や消化不良の背景には、「食事」が関係していることが多くあります。以下の点を確認してみましょう。
消化に悪い食材を与えていないか
脂っこい肉や、味付けされた人間の食べ物、牛乳などは、老犬の胃腸には負担になります。おやつやトッピングにも注意が必要です。
フードの粒が大きすぎないか
噛む力が弱くなってくる老犬にとって、大きくて硬いフードは消化の妨げになります。よく噛まずに飲み込むと、消化不良を起こしやすくなります。
一度に多く与えていないか
シニア期には胃の消化スピードが落ちているため、量を多く与えると処理しきれずに下痢を引き起こすことがあります。
フードの切り替え方
新しいフードに変えた直後に下痢をするのはよくあることです。急な切り替えは腸がびっくりしてしまいます。
✅ フードの切り替えはの目安は、基本のペースは7〜10日かけて徐々に行い愛犬に合わせて期間をアレンジしてください。
消化不良や下痢が「治らない」場合の注意点
老犬の下痢は、1日〜2日程度で自然に治まることもありますが、何日も続く場合は「慢性的な消化不良」や「基礎疾患の可能性」が考えられます。
特に注意したいのが以下のケースです。
- 数日経っても軟便・下痢が続く
- 同じような症状を繰り返す
- 食事を変えても改善しない
- 下痢止めが効かない
これらは、「シニア犬 下痢 治らない」と検索する飼い主さんが多い理由でもあります。腸の働きを助ける食事管理に加えて、膵炎、腫瘍、寄生虫、肝臓や腎臓の疾患などが関与していることもあるため、長引く下痢は必ず獣医師に相談を。
下痢・消化不良のときにおすすめの食事
下痢や消化不良を起こしているときは、胃腸にやさしい食事に切り替えることが大切です。
低脂肪・高消化性のフード
市販の「消化器サポート」「低脂肪設計」のフードは、シニア犬にぴったりです。動物病院でも扱っている製品もあるので、相談してみるのもおすすめです。
ウェットフードやふやかしフード
ドライフードをお湯でふやかすことで、消化しやすくなります。噛む力が弱くなった犬にも食べやすくなります。
一時的な手作り食
白米、茹でた鶏ささみ、かぼちゃなどは、胃腸にやさしく一時的な整腸に役立ちます。ただし、栄養バランスが偏ることも多いため、継続的な手作り食はおすすめしません。
少量ずつ複数回に分けて与える
1日2〜3回、分けて与えることで胃腸への負担を軽減できます。
下痢・消化不良時の食事と「消化器サポート」フード
下痢や軟便が続く老犬には、「消化器サポート」と記載された療法食や機能性フードが非常に効果的です。
代表的な製品には以下のような特徴があります:
- 高消化性のタンパク質を使用(鶏・白身魚など)
- 食物繊維や乳酸菌を含み、腸内環境をサポート
- 脂肪分を抑えて胃腸の負担を軽減
市販でも「ロイヤルカナン 消化器サポート」「ヒルズ i/d 低脂肪」などの製品が人気で、動物病院で取り扱いがある場合も多いので相談しやすいです。
また、ふやかしフードやウェットタイプを併用することで、シニア犬でも食べやすくなります。
✅ しばらくはこのような食事を与え、軟便や下痢が落ち着いてから通常食へ徐々に戻しましょう。
こんなときは病院へ
以下のような症状がある場合は、すぐに動物病院へ連れて行くことをおすすめします。
- 水のような便が1日以上続く
- 血が混じっている、または黒っぽい便が出る
- 明らかに元気がない、寝てばかりいる
- 食欲が落ちている
- 嘔吐を繰り返す
- 体重が急激に減ってきた
📌 「いつもの下痢とは違うかも?」と感じたら、迷わず受診を。
老犬は脱水や体力低下につながりやすいため、様子見は危険です。
下痢ではないが、うんちがゆるい「軟便」の原因とは?
下痢ほどではないけれど、便がやわらかい状態が続く「軟便」にも注意が必要です。
主な原因には以下があります。
- 消化不良(食べ物の吸収がうまくいっていない)
- 食物アレルギーや不耐性(特定のたんぱく質・穀物など)
- フードの質が合っていない、または変更が急だった
- 腸内の善玉菌の減少
- 加齢による腸の働きの低下
「犬 軟便 原因」で調べて対策をしても改善しない場合は、フードの見直しに加えて獣医師のアドバイスを受けることが重要です。
日常生活でできる予防&ケア
シニア犬の体調管理には、毎日の積み重ねが大切です。
- 食事は毎日同じ時間・適量を守る
- 乳酸菌やオリゴ糖を含むフードやサプリで腸内環境を整える
- 留守番時間を短くする、温度管理を徹底するなど、ストレスの少ない環境を整える
- 水分をしっかり摂らせる、軽い散歩で体を動かす
「ちょっとした気づかい」が、下痢の予防につながります。
老犬のお腹がゆるいときの生活習慣アドバイス
老犬のお腹がゆるい状態が続くと、飼い主としても心配が絶えませんよね。こうした状況では、日常生活そのものを見直すことが重要です。
- 毎日のごはんの時間・量を固定して腸にリズムを
- 急な気温差や湿度による冷えを防ぐ(腹巻なども◎)
- 散歩や遊びなど、適度な運動を取り入れる
- 留守番が長くなるとストレスにより軟便になる犬も。安心できる環境づくりを意識しましょう
「老犬 お腹がゆるい」と感じたときこそ、食事だけでなく生活の安定感が鍵になります。
よくあるQ&A
Q. 下痢が治ってきたら、すぐに通常のフードに戻してもいい?
→ NGです。 回復直後の腸はまだ弱っています。数日間は胃腸にやさしい食事を続け、徐々に戻しましょう。
Q. 整腸剤は使っても大丈夫?
→ 市販の動物用整腸剤(ビオフェルミンなど)を使用する飼い主さんもいますが、使用前に獣医師に相談するのが安心です。
シニア犬の「手作り食」は下痢対策になる?
消化にやさしい食事として、一時的な手作り食が下痢対策に役立つこともあります。
おすすめ食材例:
- 白米(おかゆ状)、鶏ささみ、じゃがいも、かぼちゃ、にんじん
- 消化しやすく加熱し、味付けなしで提供
ただし、以下のような注意点もあります。
- 栄養が偏りやすいため、長期継続はNG
- ミネラルやビタミン不足の可能性がある
- 体重管理や健康状態の把握が難しくなる
「シニア犬 手作り食 下痢」で情報を探す方も多いですが、獣医師や栄養士監修のレシピを参考にすることが安全な方法です。
シニア犬の下痢は病院に頼りきりより、お家ケアも重点的に
老犬の下痢や消化不良は、加齢による胃腸機能の衰えや腸内環境の変化が主な原因です。しかし、食事内容の見直しや生活習慣の改善によって、状態が安定することも多くあります。
「たかが下痢」と侮らず、日々の変化に気づいてあげることが、シニア犬との穏やかな暮らしを守る第一歩です。